「はい、もしもし？」

『あ、カガリ・・・・？俺』

「アスラン！おはよう！あ・・・昨日はごめんな」

『え？』

「あ・・・・・・だって・・・・変な態度とっちゃっただろ？気分悪くしてたらごめん・・・」

『あぁ、大丈夫だよ。気にしてないから』

「そう、か？」

『大丈夫だから。それよりも・・・その・・きょ、今日、うちに来ないか・・・？』

「今日？」

『あ・・・！だ、ダメならいいんだけど・・・いや・・・その・・・！』

「ううん。行くぞ！アスランんちに遊びに行きたい！」

『そ、そうか！じゃ、待ってるな・・・！』

「うん。お昼過ぎに行くぞ！」

『それじゃ、いっしょに食事しような』

PHASE　０５

１００回目の愛の言葉と１回目のプロポーズ。

受話器を置いた私は、さっそく出かける準備を始める。
お昼までには時間がまだある。
とりあえず、身だしなみを整えに自分の部屋へ行った。

それにしても今日のアスラン、なんだか不思議な感じがした。
何かあるんだろうか・・・？
何か・・・・

「プロポーズ、とか・・・・・？」

自分でも驚くくらい自然に口から出た言葉に、一気に紅くなってしまっただろう。

「うわわわ！！わ、私のバカッ！何考えてんだよ！」

本当にバカな考えだ。
それは私の願望でしかないのだから。

あぁ、恥ずかしい。

時間がきたので家を出たらワゴン車でお花を売っているところを見つけて、
とても綺麗だったから、アスランへ花をプレゼントすることにした。
男の人だけど、喜んでくれるだろうか？

うきうきした気分でアスランの家へ。アスランの家はすぐ近くにある。
私が引越してきた時、アスランの家に挨拶に行ったのが全ての始まりだったんだ。
いつも通る道も今日は輝いて見えるのはなぜだろう？

アスランの家に着くと、玄関先でうろうろしてるアスランが見えた。
私を待っててくれたのかな？
でも動きがなんだかちょっと変・・・。

「アスラン？何してるんだ？」
「か！カガリ・・・ッ」

びっくりさせてしまったようだ。
アスランはすごく慌てた様子で、なんだかいつものアスランじゃないみたい。

でもちょっと、そんなアスランも可愛いくて好き。

「な、な、なんでもないよ・・・！カガリ・・・ッ！」
「そうか？あ、これお土産な。綺麗な花だろう？」
「あ、あぁ！ありがとう！早速飾らせてもらうよ・・・！」

私が持ってきた花を、アスランが受け取ると、私を部屋へ招き入れてくれた。
いつ来てもとても綺麗に整頓されている部屋は、心地がいい。

「おじゃましまーす」
「はい、いらっしゃい。あ、食事にしようか？」
「うん！おなかすいたな！」

アスランの手料理を楽しみにしてて、まだ何も食事をしていなかったから、
お腹がぺこぺこだ！

早速キッチンに向かおうとしたら、ぼうっと何か考えこんでいるアスランが見えた。

「アスラン？」
「あ・・・ごめ！」

やっぱり今日のアスランはどこかおかしい。
でも、ちゃんとそんなアスランも大好きだぞ！
・・・・・・・・・・とは恥ずかしくて言えないけどさ。

その後、私とアスランはいっしょに食事をした。

「やっぱりアスランの料理って、おいしいな！」
「そうか？」
「うん！」

なんていうか・・・・すごくすごく愛がこもってるっていうのかな？
それが、私に対してだからだとすごく嬉しいな。
私も頑張ろう！
アスランに美味しいもの、食べてもらえるように・・・。

食事を終えると、いつものように２人で後片付けをしてソファーでゆっくりする。
隣に座ったアスランが、私の肩を抱き寄せてくれた。
ドキドキしながら、私もアスランへ寄り添う。

「カガリ・・・・・・・」
「ア・・・・」

アスランが私の頬にじゃれるようにキスをしてきた。

「こら！くすぐったいぞ・・・ふふ」
「・・・それじゃ、こっちは？」
「・・・・・・・・・ん」

今度は唇・・・・・・。

アスランにキスをされてると、なんだか力が抜けてとてもいい気分になってしまう。
気持ちがふわふわ浮いてるのかも。
アスランが好きすぎて、なんにも考えられなくなる。
愛しくて、涙が溢れそうだ。

大好き、アスラン・・・・・・・。

長いキスを終えたあと、アスランが私を覗きこんできた。
それにドキドキしながらも平静を保つふりをしていたら、瞼にキスしてくれた。

「アスラン・・・・・・・」

真っ直ぐに見つめてくる瞳にこの心臓は翻弄されている。
このまま、ずっと、２人きりの世界だったらいいのにと思えるほどに、
私はアスランが大好きでしかたがないんだ。

アスランの、碧の瞳が、何かを訴えているようで・・・・・。

私の胸はこれでもかってくらいに鳴り始めてる。

いつも、私のことを真剣に愛してくれてる彼。
だから、なんだか自意識過剰なくらいに、これから起こることを予感してしまった。

アスランが、ソファーから立ちあがった。
私の傍から少し離れたところで立ち止まり、なんだか深呼吸しているようだった。
私も緊張から、小さく深呼吸した。

アスラン、大好き。
アスラン、大好き。

泣けてしまいそうなほど膨れ上がった想いが、
自惚れじゃないと願う彼の言葉を待っている。

幸せにする自信は、怖いくらいあるんだ。
だって、私以上にアスランを愛してる人なんて、絶対いない。

「カガリ・・・・・！」
「は、はい！」

アスランの声に、私は立ちあがる。
緊張から、変な動きだったかもしれない。

アスランを見てみれば、温かく、甘く、真剣な眼差しをこちらに向けていてくれた。

「カガリ・・・・・・・俺・・・・・・・っ」
「は、はい・・っ」

アスランは真っ赤だった。
私もきっと真っ赤なんだろう。

大好き、と、
伝えることが苦手な私。
上手く、答えを返すことができるだろうか？

アスランが、ポケットから、指輪を取り出した。

彼の眼差しが、もっともっと、柔らかく、甘くなった。

「俺と・・・・・・・・結婚してください・・・・・！」

「・・・・・・・・・・アスラン・・・！！」

アスランの名前を呼ぶことしかできなかった。
嬉しさで震えてきた自分の身体。

アスラン、アスラン、アスラン・・・・！

私、アスランのお嫁さんになりたい・・・！

「・・・・・・・・・・・・・・・・は・・・い・・・！」

それ以上は何も言えなくて、私は口元を抑えこんだ。
きっと震えていたに違いない。

言い様もない、あまりの嬉しさと興奮と幸せで震えていたんだ！

「カガリ・・・・・！！」

何も言えないままでいる私を、アスランが力強く抱きしめてくれた。

「アスラン・・・・・！わたし、が・・・およめさん・・・っ」
「あぁ、君だけだ！」
「嬉しい・・・！」

アスランの言葉が何より嬉しくて、
自分でも気付かないうちに私の両手は彼の背中へとまわされていた。
彼の身体から伝わってくる温もりが、この幸せが夢じゃないってことを教えてくれる。

アスランがそっと私の身体を離すと、その左手の薬指へと指輪をはめてくれた。

「幸せにするよ」
「アスラン・・・・・ッ」

やっぱり嬉しさで彼の名前しか口にすることのできない私の唇に、彼の唇が重なった。

そして、私とアスランは、時が過ぎるのも忘れてキスに酔いしれたんだ。

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